Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なつとおきやま
夏遠き山
宮本 百合子
Lesen Sie 夏遠き山 (なつとおきやま) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.736 Zeichen · 8 Bildschirme
早春そこを通ったので雪解の河原、その河原に茂っている多分河楊だろう細かく春浅い枝をひろげた灌木、山又山とほんのり芽ぐみつつまだ冬枯れの密林が連った光景、そこへそのような屋根を点々と、如何にも山村浅春の趣が深かった。葉をふるい落した樹木の線の実に卓抜した美を感じたのもここを通った時の獲物だ。
那須には、そんな一種繊細なところのある風景は尠い。然し何と重厚に自然は季節を踏んで行くことだろう。先月二十七日に来た時、東公園と呼ばれる一帯の丘陵はまだ薄すり赤みを帯びた一面の茶色で、枯木まじりに一本、コブシが咲いていた。その白い花の色が遠目に立った。やがて桜が咲いて散り、石崖の横に立つ何だかわからない二丈ばかりの木が、白い蕾を膨らませ始める。――五月の緑の間に咲く白い花を私は愛する。東京を立って来る前、隣りの花園で梨の花が咲いた。もう葉桜だ。その木の間がくれに見える白い梨花、春の嵐が来て空は今にも大雨を降らしそうな鉛色で鈍く暗く、光る。その下にねっとり白く咲く梨の花の調子は、不安なポプラの若葉の戦ぎと伴って、一つの音楽だ。熱情的な五月の音楽だ――何の花だろう。