Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうだち
夕立
永井 荷風
Lesen Sie 夕立 (ゆうだち) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.022 Zeichen · 3 Bildschirme
浅草橋も後になし須田町に来掛る程に雷光凄じく街上に閃きて雷鳴止まず雨には風も加りて乾坤いよいよ暗澹たりしが九段を上り半蔵門に至るに及んで空初めて晴る。虹中天に懸り宮溝の垂楊油よりも碧し。住み憂き土地にはあれどわれ時折東京をよしと思うは偶然かかる佳景に接する事あるがためなり。
巴里にては夏のさかりに夕立なし。晩春五月の頃麗都の児女豪奢を競ってロンシャンの賽馬に赴く時、驟雨濺来って紅囲粉陣更に一段の雑沓を来すさま、巧にゾラが小説ナナの篇中に写し出されたりと記憶す。
紐育にては稀に夕立ふることあり。盛夏の一夕われハドソン河上の緑蔭を歩みし時驟雨を渡頭の船に避けしことあり。
漢土には白雨を詠じたる詩にして人口に膾炙するもの東坡が望湖楼酔書を始め唐韓が夏夜雨、清呉錫麒が澄懐園消夏襍詩なぞその類尠からず。彼我風土の光景互に相似たるを知るに足る。
わが断腸亭奴僕次第に去り園丁来る事また稀なれば、庭樹徒に繁茂して軒を蔽い苔は階を埋め草は墻を没す。年々鳥雀昆虫の多くなり行くこと気味わるきばかりなり。夕立おそい来る時窓によって眺むれば、日頃は人をも恐れぬ小禽の樹間に逃惑うさまいと興あり。