Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よるのくつ

夜の靴

横光 利一

Lesen Sie 夜の靴 (よるのくつ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの婿は、おれを飯炊き婆と思うてるんだよ。挨拶一つもしてくれやしない。一口ぐらい物いうてくれて良さそうなものじゃないか。」

こうも云っては暴れている。ひどく悲しいらしい。

十一月――日

雨は降りつづく。刈上げをすませた農家も雨で取り入れが出来ない。このため収穫時のさ中に意外な閑がどの家にも生じて来たので、農事の他の仕事、街へ出て行ったり、実家へ戻ったり、遠い田舎の親戚間との往復など、どこの炉端もそんな出入が頻繁になって来た。このような人の交流が旺んになると、より合う話はまた自然に物の値段の噂話となり、それだけ値の低い村の物価が揺れのぼっていく結果となるのみだ。

酒一升を三十円で買いとった疎開者らが、それを都会へ持ち運んで三百円で売っているという話、米一升を十円で買い集めては、それを七十円で売り捌いている疎開者の話、うっかり図にのって米を買い集められた人の好い村では、そのため米が無くなり逆に疎開者から高値の米を買わされているという滑稽な話など、そんな山奥生活の話も聞えて来てどの炉端も哄笑が起っている。

「都会のものはどれほど金を持ってるものやら、もう分らない。