Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
してみれば、自首をすすめられたのは、まるでもっけの倖いかも知れなかった。いや、何かサバサバした気持だった。
「自首という手もあったんだな」
自首して留置されれば、雪子に近づけるわけだ。と、思ったのだ。
「手間がはぶけて、手っ取り早いわい」
そう呟いたが、しかしさすがに豹吉はふと寂しそうだった。
「そうか、自首してくれるか。ありがとう」
小沢の声は思わず弾んだ。
「そんなにうれしそうな顔をして、礼を言うのはやめてくれ。けったくそ悪いよ」
豹吉は再び唾を吐いて、扉の中へはいって行こうとした。すると、小沢はあわてて、
「いや、一寸待ってくれ。僕は君ひとりやりたくない」
「じゃ、誰とや……」
「君の仲間と一緒に自首させたい」
「おれに、仲間を説き伏せろというのやな」
豹吉はふとブルウスカイで待っている青蛇団の連中の顔を、想い出した。
「そうだ、虫のいい願いだが、そうしてくれないか」
豹吉は石段の上へ眼を落した。睫毛がかぶさって眠っているようだった。やがて、ふと顔を上げると、
「あんたの役はいい役やなア。同じ自首をすすめるのでも、おれの方は悪い役まわりや」
しょんぼりした声だが、しかしふとえくぼが泛び、したたるような微笑をたたえながら豹吉は言った。