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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「兄さんはS署に留置されているのです。どんな悪いことをしたのか、知りませんが、明日あたしに出頭しろと、S署から云って来ました。小沢さん、お願いです。あたしと一緒にS署へ行って下さいません……?」

と、いうのである。

「S署……?」

と、小沢はきいて驚いた。実は小沢は……

「――僕も明日S署へ行くんです。いや、行かねばならないんです」

雪子の釈放のこともあったし、自首した豹吉たちのことも気になっていた。

「じゃ、今夜はここでお泊りになって下さい……」

若い娘一人では物騒で、寂しい――と、道子は赧くなって、モジモジ言った。

「はア、でも……」

と、小沢は躊躇したが、考えてみれば宿なしだ。

夜も更けている。それに、まさかアベノの宿屋へも行けない。

「そうですね」

と、ちょっと考えるように言って、

「――じゃ、お世話になりますかな」

「はあ。どうぞ!」

道子の眼は急にいきいきと輝いた。

小沢はその眼を見ると、はっとした。

そして、お互い暫く言葉もなくじっと眼と眼を見合っていた。

道子の顔は何か上気して、ぼうっと赧かった。小沢は自分の顔の筋肉がこわばっているのを、意識してふと心の姿勢が崩れて行く危なさに、はっとした。