Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
指一本動かさなかった。そして、
「君は今まで……」
と、思わず野暮な声になって言った。
「男と宿やへ来たことがあるのか」
「え……?」
娘は不意を突かれたように、暫らくだまっていたが、やがて、つんと顎を上げると、
「――あるわ」
もう昂然とした口調だった。
「ふうん」
小沢は何か情けなかった。
「――好きな男と……?」
「好きな男なんかあれへん」
「じゃ。嫌いな男とか……?」
「嫌いな男もあったわ」
「嫌いな男とどうしてそんなことをするんだ?」
われながらおかしい位、むきになっていた。
「食うためよ。あたしの罪じゃないわ」
寝る前とは打って変ったように、娘はズバリと言ってのけた。
「じゃ、君は……?」
ちょっと躊躇したが、思い切って、
「――僕に体を売るつもりか」
「違うわ。あんたにはお金なんか貰えんわ。あんたはあたしを助けてくれたでしょう。だから……」
「だから、どうだっていうんだ」
「だから、あんたが何をしてもかめへんと思ったのよ」
「そんなお礼返しは真っ平だ。――だいいち僕がそんなことをすると、思ってるのか」
「だって……」
と、娘は甘えるように、
「――男って皆そんなンでしょう……?」