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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

そう呟きながら、渡辺橋を北へ渡って行ったが、橋の中ほどまで来ると、急にぱっと駈け出した。

うしろも見ずに、追われるように走りながら、

「しもたッ! あの男を突き落す前に掏ってやればよかった……」

そんな後悔でかえって自分を力づけていた。

「――しかし、掏ってみても、あの男のこっちゃさかい、新円の五十円もよう持っとらんやろ、朝の仕事はじめに、百円にもならん仕事をしたら、けちがつく」

そう考えると、――いや、そう考える余裕がこの際残っていたことで、豹吉はわずかに自尊心が慰められた。

けれど、走る足はやはり速かった。……

それから、四時間近くたった頃――

どこをどう歩きまわっていたのか、豹吉は風のように難波の闇市へ現れた。

昨日は雨とメーデーで闇市もさびれたが、今日の闇市はまだ昼前だというのに、ぞろぞろと雑踏していた。

揉まれるようにして、歩いていると、

「大将! 靴みがきまひょか」

二人の少年から同時に声を掛けられた。

二人は顔が似ていた。二人とも痩せて、顔色が悪く、乾いた古雑巾のように薄汚い無気力な顔をしている点が、似ているだけではない。顔立ちが似ているのだ。