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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「そう、あんたは聴えなかったわね」

お加代は苦笑したが、ふと思いついたように、

「――そうだわ。あんたの耳が聴えるのだったらこんな話はしないわよ。聴えないから、するのよ」

「…………」

お加代の顔を見上げた娘は、お加代の眼がうるんだのを見てびっくりしたような表情になった。

「あたしだって、あの針助に刺青さえされなきゃ、こんな女にならなかったわよ。あたしだって、東京にいた頃は、真面目な娘だったのよ。同性愛も出来ないくらい、コチコチの箱入娘だったのよ。それが東京で焼け出されて一人で、大阪へ流れて来て……」

その時のことを想い出すようにふっと空を見上げると、降るような星空だった。

「ああ。きれいなお星様」

呟いた時、ふと星が流れて、青い光がすっと斜に、あえかな尾を引いて、消えた。

お加代はしみじみと、星の流れるあとへ遠い視線を送りながら、

「……お星様が流れている間に願いごとを祈ると、かなうというけど……」

と、ひとり言のように呟いていると、ふと思いがけぬやるせなさに、胸がしめつけられた。

「――願いごとって、どんなことだろう」

と、その胸の底を覗きかけて、お加代はあわてて想いをそらしたが、しかし、星が見ていた。