Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
郡県とも言わるる時代の上に立つものが改革の実をあげようとするなら、深くこの谷を注目し、もっと地方の事情にも通じて、生民の期待に添わねばなるまいと彼には思われた。
嘆願書はできた。二月はじめから四月まで、半蔵はあちこちの村を訪ね回って、戸長らの意見をまとめることに砕心した。草稿の修正を求める。清書する。手を分けて十五人の総代の署名と調印とを求めに回る。いよいよ来たる五月十二日を期して、贄川、藪原、王滝、馬籠の四か村から出るものが一同に代わって本庁の方へ出頭するまでの大体の手はずをきめる。彼も心から汗が出た。この上は、御嶽山麓の奥にある王滝村を訪ねさえすれば、それで一切の打ち合わせを終わるまでにこぎつけた。彼はそれを早く済まして来るつもりで、自分の村方の用事を取りかたづけ、学校の子供の世話は松雲和尚に頼み、今は妻の帰りを待って王滝の方へ出かけられるばかりになった。
こういう中で、彼は自分のそばへ来る娘の口から、ちょっと思いがけないことを聞きつけないでもなかった。
「お父さん、おねがいですから、わたしもお供させて。」
そのこころは、父の行く寂しい奥山の方へ娘の足でもついて行かれないことはあるまいというにあるらしい。