Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
そういう彼はまた、しいてそんな風俗を固守しているでもないが、日ごろの願いとする古い神社の方へ行かれる日でも来たら、総髪こそその神に仕える身にはふさわしいと思われるからでもあった。不思議にも、鋭く光った目は彼の行く先にある。どう見てもそれは恐ろしい目だ。こちらの肩をすくめたくなるような目だ。彼はそんな物言う目を洋服姿の諸官員なぞが通行の多い新市街の中に見つけるばかりでなく、半分まだ江戸の町を見るような唐物店、荒物店、下駄店、針店、その他紺の暖簾を掛けた大きな問屋が黒光りのする土蔵の軒を並べた商家の空気の濃いところにすら見つける。どうかすると、そんな恐ろしい目はある橋の上を通う人力車の中にまで隠れている。こういうのが夢かしらん。そう思いながら、なおその心地をたどりつづけるうちに、大きな河の流れているところへ出た。そこは郷里の木曾川のようでもあれば、東京の隅田川のようでもある。水に棹さして流れを下って来る人がある。だんだんこちらの岸に近づいたのを見ると、その小舟をあやつるのは他の人でもない。それが彼の父吉左衛門だ。父はしきりに彼をさし招く。舟の中には手ぬぐいで髪をつつんだ一人のうしろ向きの婦人もある。