Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.467 Zeichen · 47 Bildschirme
兵庫奉行柴田剛中は幕府の役人であるところから、社会に変革が起こると同時に危難のその身に及ぶことを痛く恐怖して、疾くに姿を隠してしまった。この人がのがれる時には、宿駕籠に身を投げ、その外部を筵でおおい、あたかも商家の船荷のように擬装して、人をして海岸にかつぎ出させ、それから船に乗って去ったというくらいだ。こんな空気の中で、夕やみが迫って来た。多くの住民の中には家財諸道具を片づけるものがある。ひそかにそれを近村へ運ぶものがある。年寄りや子供を遠くの農家へ避難させるものもある。
たまたま、三百余人の長州藩の兵士を載せた船が大坂方面からその夜の中に兵庫の港に着いた。おそらく京坂地方もすでに鎮定したので、関税その他を新政府の手に収めることを先務として、兵庫開港場警衛の命を受けて来た人たちであったろう。英国兵はそれとは知らないから、備前藩の兵が大挙してやって来たのだと誤り認めて、まさに発砲するばかりになった。長州兵がそうでないと告げても、外人は信じない。長州兵の中には怒って外人の無礼を懲らそうと主張するものが出て来た。こうなると、町々は焼き払われるだろうと言って、兵火の禍いに罹ることを恐れる声が一層住民を狼狽させた。