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Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.467 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

そこはなかなか大きな室であるが、周囲の襖をしめきるとすこぶる薄暗い。わずかに隣室の上部の欄間から光線がもれ入るに過ぎない。しかし国風によって施された装飾の美は目もさめるばかりで、壁と言わず、襖と言わず、構造は実に念の入ったものであったという。待つこと一時間以上、その間に将軍は謁見室に出御がある。一行のうちの使節のみが導かれて御前に出る時、一同大声で、

「オランダ、カピタン。」

と呼んだ。これは将軍に近づいて使節に礼をさせるための合図である。将軍が国内の他の最も強大な諸侯に対する場合でも、その態度はすこぶる尊大である。すべて諸侯の謁見に際しても、その名が一度呼び上げられると、諸侯は無言ですわったまま手と膝とで将軍の前ににじりより、前額を床にすりつけて拝礼した上で、また同一の態度で後ろへ這いさがるのである。そこでオランダの使節も同じように、将軍へ献上する進物を前に置き、将軍に対して坐し、額を床につけ、一言を発することもなく、あたかも蟹のようにそのまま後ろへ引きさがった。

オランダ人がこの強大な君主に対する謁見はこんな卑下したものであった。これほど身を屈して、礼儀を失うまいとしたのは言うまでもなく、この国との通商を求めるためであったからで。