Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 夢殿殺人事件 (ゆめどのさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.755 Zeichen · 55 Bildschirme
と云うのは、第二関節以下しかない、推摩居士の右の中指と左の無名指に、所謂光指が現われているからなんだ。その根元に弾片をうけて神経幹が傷付いているので、君も先刻見た通りに、指尖が細く尖って青白く光っているんだ。然し、戦地病院などでは大神経幹と違い、決して包鞘手術などをやる気遣いはないのだけれども、傷口さえ治れば、日常の動作には事欠かないようになってしまうのだ。つまりそこに、レチェ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ンが神経代償機能と名付けた現象が起るからなんだよ。繊維だけが微かに触れ合っている周囲の神経が、栄養や振動を伝えてくれて、その瀕死の代償をしてくれるからなんだ。所が、これは、外傷性ヒステリー患者の、実験報告にも現われている事だけれど……、周囲の神経が痲痺してしまうと、時偶その遮断されている神経のみが、他の筋肉からの振動をうけ、実に不思議千万な動作を演ずる事がある。それなんだよ支倉君、そこに奇想天外な趣向を盛る事が出来れば、或は推摩居士がいきなり逆立ちして、あの孔雀の趾跡を残しながら、歩き出しはすまいかと思われるんだ」
それから夢殿を出ると、その足で普光尼の室へ赴いた。