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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

何故その時に、森の方へ近づいて行ったのか、その時の私には全くわかりませんでした。生れつき臆病者の私が、しかも日の暮れかかっている敵地の野原を、堪え難い痛みに喘ぎながら、どうしてそんな気味のわるい森の方へ匍い寄って行く気持ちになったのか……。

……それは、その時既に私が、眼に見えぬ或る力で支配されていたというよりほかに説明の仕方がありませんでしょう。常識からいえば、そんな気味のわるい森の方へ行かずに、草の中で日の暮れるのを待って、鉄道線路に出て、闇に紛れてニコリスクの方へ行くのが一番安全な訳ですからね。申すまでもなくリヤトニコフの宝石の事などは、恐ろしい出来事の連続と、烈しい傷の痛みのために全く忘れておりましたし、好奇心とか、戦友の生死を見届けるとかいうような有りふれた人情も、毛頭残っていなかったようです。……唯……自分の行く処はあの森の中にしかないというような気持ちで……そうして、あそこへ着いたら、すぐに何者にか殺されて、この恐しさと、苦しさから救われて、あの一番高い木の梢から、真直ぐに、天国へ昇ることが出来るかもしれぬ……というような、一種の甘い哀愁を帯びた超自然的な考えばかりを、たまらない苦痛の切れ目切れ目に往来させながら、……はてしもなく静かな野原の草イキレに噎せかえりながら……何とはなしに流る