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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

けれどもどれもうまく合いませんでやっぱりもとの通りが一番いい事になります」

「つまりこの通りなんですね」

「そうです」

「みんなよく鳴りますか」

「ええ。みんな伯母が自慢のものです。胴の模様もこの通り春の桜、夏の波、秋の紅葉、冬の雪となっていて、その時候に打つと特別によく鳴るのです。打って御覧なさい」

「伯母さまがお帰りになりはしませんか」

「大丈夫です。今三時ですから。帰るのはいつも五時か六時頃です」

「じゃ御免下さい」と一礼して羽織を脱いだ、妻木君も居住居を直した。

私は手近の松に雪の模様の鼓から順々に打って行ったが、九段にいる時と違って一パイに出す調子を妻木君は身じろぎもせずに聞いてくれた。

「結構なものばかりですね」

と御挨拶なしに賞めつつ私は秋の鼓、夏の鼓と打って来て、最後に桜の模様の鼓を取り上げたが、その時何となく胸がドキンとした。ほかの鼓の胴は皆塗りが古いのに、この胴だけは新らしかった。大方この鼓だけ蒔絵の模様が時候と合わないために、春の模様に塗りかえさしたものであろうが、その前の模様はもしや「宝づくし」ではなかったろうか。

私はまだ打たぬうちに妻木君に問うた。