Japanische Klassiker mit Furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme
けれども二人とも久能の遺言を本気に受けて鶴原家からアヤカシの鼓を引き取ろうというようなことはしなかった。
この久能の孫の久意が私の父であった。
私の父は京都にいる時分から鼓の修繕や仲買い見たようなことをやっていた。けれども手職が出来たらしい割りにお客の取り付きがわるく、最初に生れた男の子の久禄というのは生涯音信不通で、六ツの年に他家へ遣るという有り様であった。これを東京の九段におられる能小鼓の名人で高林弥九郎という人が見かねて東京に呼び寄せ、牛込の筑土八幡の近くに小さな家を借りて住まわせて下すったので父はやっと息を吐いたという事である。
しかし明治三十六年になって母が私を生み残して死ぬと、どうしたものか父は仕事を怠け初めて貸本ばかり読むようになった。それから大正三年の夏に脊髄病に罹って大正五年の秋まで足かけ三年の間私に介抱されたあげく肺炎で死んだ。その時が五十五であった。
その死ぬすこし前のことであった。
私が復習を済ましてから九段の老先生から借りて来た「近世説美少年録」という本を読んできかせようとすると父は、
「ちょっと待て、今日はおれが面白い話をしてきかせる」