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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

私は廊下に突立っている妻木君の姿と、たおれている未亡人の姿を何の意味もなく見比べながら坐っていた。

妻木君はつかつかと這入って来て未亡人の枕元に立った。手に冷たく光る細身の懐剣を持って妙にニコニコしながら私の顔を見下した。

「驚いたろう。しかしあぶないところだった。もすこしで此女の変態性慾の犠牲になるところだった。こいつは鶴原子爵を殺し、僕を殺して、今度は君に手をかけようとしたのだ。これを見たまえ」

と妻木君は左の片肌を脱いで痩せた横腹を電燈の方へ向けた。その肋骨から背中へかけて痛々しい鞭の瘢痕が薄赤く又薄黒く引き散らされていた。

「おれはこれに甘んじたんだ」と妻木君は肌を入れながら悠々と云った。「この女に溺れてしまって斯様な眼に会わされるのが気持よく感ずる迄に堕落してしまったんだ。けれども此女はそれで満足出来なくなった。今度はおれを失恋させておいて、そいつを見ながら楽しむつもりでお前を引っぱり込んだ。おれが起きているのを承知で巫山戯て見せた。……けれどもおれが此女を殺したのは嫉妬じゃない。もうお前がいけないと思ったからこの力が出たんだ。お前を助けるためだったんだ」