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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで暖くなるのを待っているうちに懐中がいよいよ淋しくなって来たので、私は宿屋の払いをして東の方へブラブラとあるき出した。すてきにいい天気で村々の家々に桃や椿が咲き、菜種畠の上にはあとからあとから雲雀があがった。

その途中あんまり疲れたので、とある丘の上の青い麦畑の横に腰を卸すと不意に眼がクラクラして喀血した。その土の上にかたまった血に大空の太陽がキラキラと反射するのを見て私は額に手を当てた。そうしてすべてを考えた。

私は東京を出てから丸三年目にやっと本性に帰ったのであった。懐中を調べて見ると二円七十何銭しかない。私は畠の横の草原に寝て青い大空を仰いで「チチババチバチバ」という可愛らしい雲雀の声をいつまでもいつまでも見詰めていた。

東京に着くと私は着物を売り払って労働者風になって四谷の木賃宿に泊った。そうして夜のあけるのを待ちかねて電車で九段に向った。

なつかしい檜のカブキ門が向うに見えると、私は黒い鳥打帽を眉深くして往来の石に腰をかけた。その時暁星学校の生徒が二人通りかかったが、私の姿を見ると除けて通りながら「若い立ちん坊だよ」と囁き合って行った。