Japanische Klassiker mit Furigana
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おおきなかしのき
大きなかしの木
小川 未明
Lesen Sie 大きなかしの木 (おおきなかしのき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.305 Zeichen · 7 Bildschirme
「ほかの木には、あんなにきれいな花が咲くじゃないか。なぜ俺には、咲かないのだろう? またほかの木には、あんなに美しい鳥や、ちょうが、毎日のようにおとずれるのに、なぜ、俺のところへはやってこないのだろう?」と、かしの木は、不平をいいました。
気むずかしい木は、すこしの風でも腹をたてていました。そして、不平がましく叫びをあげました。
「そんなに怒るもんじゃないよ。」と、からかい半分に、風は、かしの木に向かっていいました。南の方から吹いてくるやさしい風は、どの木にも草にもしんせつで、柔和でありましたけれど、北の方から吹いてくる風は、小さいのでも大きなのでも、冷酷で、無情で、そのうえ寒く冷たいのでありました。
それも、そのはずで、南からくるのは、橄欖の林や、香りの高い、いくつかの花園をくぐったり、渡ったりしてきます。これに反して北からの風は、荒々しい海の波の上を、高い険しい山のいただきを、谷に積もった雪の面を触れてくるからでありました。そして、この孤独な木を慰めてやろうとはせずに、かえってからかったり、打ったり、ゆすぶったりするのは、いつも北から吹いてくる風であったのです。