Japanische Klassiker mit Furigana
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おおいがわおくやまのはなし
大井川奥山の話
木暮 理太郎
Lesen Sie 大井川奥山の話 (おおいがわおくやまのはなし) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.724 Zeichen · 20 Bildschirme
準備の為に田代で一日逗留して、案内者の望月雄吉と人夫の滝波国一の二人に、十日分の食糧を背負せ、奥山に向って出発したのは、七月三十一日の午前六時頃であった。連日の旱に道芝の露さえおかず、山奥の草木もしおれ勝であった程好晴が続いていたので、小河内道を取って大井川の左岸を上ることにした。此道の方が朝は日蔭が多いからである。
小無間山の尖峰を絶えず左手に仰いで、脚の下に大井川を眺めながら、九時頃桑ノ木嶋に着いた。再び釣橋を渡って右岸に移ると、左から明神谷が落ち合っている。ハネンゾウリ、ノタハギ段、下ゾウリなどいう所を過ぎて、間もなく下ノ島に来た。此処で大井川に別れ、山の鼻を登り気味に廻って、信濃俣の谷に入り込むのである。信州に抜ける間道がこの奥のガッチ河内に沿うて通じている。これは其道であるが大分荒廃して途切れ勝である。河原に下ると雄吉はすぐ岩魚釣りを初めたが、昨日九人も釣り荒した後なので、二、三尾しか釣れなかった。此辺の闊葉樹の森林は実に立派なもので、濃い翠の色が谷間の空に漂うている。いよいよ山に来たなという感じが強く起る。其日は岩魚釣りの掛けた河原の小屋に泊った。