Japanische Klassiker mit Furigana
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おとなのめとこどものめ
大人の眼と子供の眼
水上 滝太郎
Lesen Sie 大人の眼と子供の眼 (おとなのめとこどものめ) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.719 Zeichen · 10 Bildschirme
」
一番頓狂な乾物屋の子は、ありあわせの竹の棒にまたがって、そこいら中をかけずり廻った。
「馬鹿、てめえみたいな鼻ったらしが馬になんか乗れるもんかい。あの人なんて百円の月給取なんだぞ。」
年かさの車屋の子は、はしゃぎ切って汗を流している奴を叱りつけた。
「百円? おっかねえ、おっかねえ。」
乾物屋の子は目をまあるくして、おどけた顔を突出した。
「百円の月給だってさ。」
周囲の者も口々に驚嘆の声を発した。驚くほかに何らの考えも浮かばないほど、当時の子供の頭には、百円という金が大金だった。口でこそ百円とひと口にいうけれど、その分量も直うちも到底想像出来なかった。
その連中にまじって、自分は声こそ出さなかったが、心ひそかに驚嘆していた。自分も大きくなったら、あんな立派な馬に乗りたいが、百円の月給取にならなければ駄目なのかと思うとがっかりした。いったい世の中に、どういう人が百円なんていう莫大もない月給をとるのだろう、大将かしら、大臣かしら、いろいろ考えたがわからなかった。話に聞けば自分の父も、自分が生まれない先に役人をしていた頃は、馬に乗って役所に通ったそうだが、どうも百円の月給取ではなさそうに思われる。