Japanische Klassiker mit Furigana
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おおえどおうごんきょう
大江戸黄金狂
野村 胡堂
Lesen Sie 大江戸黄金狂 (おおえどおうごんきょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.754 Zeichen · 53 Bildschirme
「まア、海道丸」
お滝の声には救われた喜びが響きました。こんな陰惨な空気の中で、悪戯っ児で横着者だった海道丸に逢うのは、決してイヤな事ではなかったのでした。
「安くして貰うまいよ、姐御」
「えッ」
「海道丸には相違ないが、もうお滝姐さんの子分や手下じゃない――相対ずくで物を言うぜ、え、おい、三人」
海道丸の顔には、不思議に威圧的なところがありました。月の光のせいか、可愛らしい顔が妙に硬張って、表情にも、調子にも、少年らしさなどはもう微塵もありません。
「何を言うんだえ、海道丸」
「フ、フン、まだ気が付かないのかえ、こんな芝居を打ったのは、姐御は自分だと思って居るだろうが、よく考えて御覧、大久保石見守の子孫が、百年後にどうして居るか、一々教えてやったのはこの俺じゃないか」
「――――」
「六本の手紙だって、姐御が書いたに違いないが、文句は皆んな俺が教えてやったろう、――その坊さんに、今晩此処で、五人か七人の人間が死ぬと言ってやったのも俺だ」
「お前は――」
「黙って聴いておくれ、七人此処へ集めたのも俺なら、七人のうち、若侍の万田龍之助と、厄介の貝六を殺したのも俺だよ、――お染を才市に殺さしたのも、才市をその丈太郎に斬らせたのも、俺の筋書の一つだったんだ」