Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「なるほど、それは結構なお心がけじゃ……しかし先生と申すのは、恥かしながらこのおやじめのことでござりまする」
「ははあ、あなた様が無眼流の指南をなされますか。それは何より」
兵馬も少し案外に思いましたけれども、事実、こんなのがあるいは隠れたる本当の名人であるかも知れない。名人でないまでも、こういうところに意外な流儀の血統が伝わっているのかも知れない。何か相当の自信がなければ、かりにも一流指南の看板は出せないはずと、少しも軽蔑の色なく慇懃に挨拶をしますと、おやじ、
「さあ、どうぞお通りなさい」
と言ったが、自分は少しも絵馬描きの手を休めるのではありません。
お通りなさい、といわれ、兵馬は、ちょっとドコへ通って、ドコへ腰を下ろしてよいのだか、それに迷いましたが、やむなく道場の板の間に足を置いて、畳の方へ腰をかけて、
「御免下さい、無眼流とあるのを珍しいことに存じました」
「はい、当今は一刀流だの、心蔭流だのというのがはやりまして、無眼流などは一向はやりませぬゆえ、こうして、道場の看板だけはかけておりますが、弟子というものが一人もありませんでな……」
おやじはあまり自慢にもならないことを、平気でこういいました。