Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

「論より証拠じゃないか、お前は塩尻峠で何を見ていた」

「お前こそ何を見ていた」

その時、通りかかった濠端で、人が集まって大騒ぎ。二人は話をやめて、

「何だ」

「ええ、狂犬でございます」

「狂犬が、どうしたのだ」

「今、若いお侍が、狂犬を取って投げました、上の方へ遥かに飛んで、松の枝をかすめて、犬がお濠の真中へ落っこちたところであります」

「なあんだ」

何事かと思えば犬一匹のこと。仏頂寺弥助が冷笑して過ぎて行くところへ、いったん、沈んだ狂犬が浮き上って、岸の方へ泳いで来るから、

「それ、狂犬がまた出て来たぞ、浮み上ったぞ」

人だかりは八方へ散ると、血迷いきった狂犬は、仏頂寺と丸山をめがけて飛びかかったのを、仏頂寺が、

「ええ、畜生」

一旦、蹴飛ばしておいて、次に踏み殺してしまいました。

二十

この二人が甲府の市中を進んで行くうちに、例のヘラヘラ役者の、覆面辻斬の絵看板の辻々に掲げられたのを見ると、仏頂寺が、

「この奴等、いいかげんにしないと、目に物見せてくれるぞ」

と、ちょっと凄いことを言いました。目に物見せてくれるといったところで、何といっても仏頂寺ほどの者が、ヘラヘラ役者を相手に、本式の立廻りを見せようというわけでもあるまい。