Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「先生、硯の水がなくなりました」
「それではみなさん、お手習はこれでおしまいにします、硯と草紙を、ちゃんと正しく、筆を前に置いて、こちらをお向きなさい」
程経てお松がこういうと、子供たちが静まり返る。お松は自分も座について、
「手をよごしませんでしたか、さあこうして上げてみてごらんなさい」
三十名の子供が、残らず両手を差し上げると、
「あ、先生、おたあはつばきで、手にくっつけた墨をふいています」
「うそだい」
ともかくもこれで習字の時間が終って一礼すると、子供らは、切りほどかれたように、与八と、お松の周囲に寄ってたかってかじりつく。
与八も、お松も、それを叱ろうとはしません。
沢井道場の今日このごろの有様は、こんなあんばいです。
今日はお松が、ムク犬をつれて、万年橋を渡ります。
これはかねて、心がけていた、対岸和田の村に、宇津木文之丞のお墓参りをしようと思っていたのを果すつもりと見える。実は、このお墓参りには、与八も、郁太郎も、乳母も、登もうちつれて、一緒に出かけようとも思ったのですが、それはどうも憚るところが多いと思い返して、お松はムク犬だけをつれて出かけたのです。