Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
そこで、竜之助はハッとして歩みをとどめました。仰いで見たところで、岩石の落ち来るべきところではない、俯して見たところで、人の気配のないところ。
そこで竜之助は歩みをとどめて、石の降って来た方面に面を振向けると、第二に飛んで来た石が竜之助の面をかすめて、再び沼の中に落ちて音を立てました。
第一のものは、いかなるところから、いかなるハズミで飛んで来た外れ石か知れないが、第二のものは、たしかに心あってしたものに相違ない。何か自分をめあてに、仕掛ける意図があっての仕業に相違ない。それにしては力の無い石だと思いました。けれども、竜之助の心が動きました。そうして手に提げていた金剛杖の真中を取って、矢止めの型で軽く振ってみた。その杖先に第三の石が飛んで来てカチリと当って下に落ちました。
「ホホホ、驚いたでしょう」
と行手に立って言葉をかけたのは、聞覚えのある声です。いつのまにか叢の上に立ってこちらを見ているのは、例の、飛騨の高山の穀屋の後家さんであります。その声を聞くと、竜之助が身顫いをしました。今の悪戯はこいつだ。年甲斐もない噪ぎ方だ。
「ねえ、先生」
と言ってこの後家さんは、そろそろと少し高い所から下りて来て、なれなれしく話しかけました。