Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「これでおしまい、とうとう一冊読んでしまいました」
紙数にして五十枚ほどの一冊を、お雪はスラスラと読みおわって、巻をとざしながら、
「つまり王昭君という方は、絵をかく人に美人にかいてもらえなかったために、あんな運命になったのですね、美人薄命というのを、裏から行ったようなものですね」
と言いました。
「王昭君は本来美人なのだろう、だからやはり美人薄命さ」
竜之助が答えると、
「それはそうですけれど、本来の美人を、絵をかく人が醜婦にかいてしまったのでしょう、ですから、醜婦として取扱われてしまったんですね。つまり絵をかく人が、筆の先で王昭君を殺してしまったのですね」
「まあ、そんなものだ」
「してみると、人を殺すのは刀ばかりじゃありませんね、筆の先でも、立派に人が殺せるんですから……」
「そうだとも、筆の先でも、舌の先でも……」
と竜之助がいいますと、お雪が、
「わたしなんか美人じゃありませんから……」
それは謙遜で、お雪ちゃんにもなかなかよいところがあります。
「先生、わたしには、どうしてもまだ一つわからないことがあるのよ、いつかお尋ねしようと思っていましたけれど、つい……」