Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
問題の提灯を、いきり立った馬子の裸松の前へ持ち出し、
「幸い、持合せがございますゆえ……新しいのを一本差加えまして……」
と言って、さいぜん峠で買ったばかりの蝋燭を一本だけ差加えて、うやうやしく馬子の裸松の前へ出すと、これはかえって裸松の怒りに油をさしたようなもので、
「ふ、ふ、ふざけやがるない、この筍め」
提灯を引ったくって、道庵の横面を一つ、ぽかりと食わせました。
それで道庵がひとたまりもなく、二間ばかりケシ飛んでひっくり返ったが、そんなことに腰を抜かす道庵とは、道庵がちがいます。
「この野郎様、おれをぶちやがったな、さあ勘弁ができねえ、おれを誰だと思う、江戸の下谷の長者町で……」
といったが、江戸の下谷の長者町あたりでこそ、道庵といえば、泣く児も泣いたり、だまったりするが、中仙道の軽井沢あたりへ来たんでは、あまり睨みが利かないことを、この際、気がつかないでもないと見え、
「おれの匙にかかって命を落した奴が二千人からある、人を殺すことにかけては、当時この道庵の右に出る奴は無え……人を見損なうと承知しねえぞ」
といって、起き上ると、ひょろひょろと駈け寄って、裸松の前袋に食い下りました。