Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
といって、思わず頭をあげて嘯いたけれども、眼はやっぱり子熊から離れないのです。
「こいつは、ムクの子かも知れねえ」
米友になじみつつ、煎餅をかじる子熊の姿を見ると、米友がたまらなくなりました。光るものが一筋、米友の眼尻から糸を引いて来るようです。
売られて行くんだな、香具師のところへ……そう思うと、昔の自分たちのことが、身にツマされてきました。お君、ムクもろともに、自分たちは、やはり興行師の手にかかって苦労した覚えがある。あれは売られたんじゃない、救われたようなものだが、やっぱり苦い味はなめさせられた。こいつも、売られて行く、頑是なく、今は何も知らねえが、今に泣かされることだろう……と米友は身にツマされてくると、自分たちというものと、ムク犬と、それからこの子熊との間の境がわからなくなり、子熊のために同情したのが、かえって自分の身に火がついたように思い、この子熊の前途の運命を、よくしてやることが、自分の身に降りかかる火の子を払わねばならぬことのように思われ、
「こっちで買うんだ、この熊はよそへはやれねえ……」
と叫びました。
三十八
それは当然のなりゆきです。