Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

ていたせいか、真白くなって眠っているのを、たしかに見届けました。

十一

それは、お雪ちゃんが気のついた瞬間に、釣台をかついだ人夫が、あわてて覆いをしたものですから、ほかの誰も気のついたものはありません。

一息入れて釣台の一行は、こうしてお雪ちゃんの一行に後れて来たが、先立ってしまいました。

そのあとから、おもむろに手綱をとりだした馬子が、

「お客さん、これが平湯峠の名物、笹の魚というのでがんすよ、おみやげにお持ちなさいましな」

それは笹の葉が魚の形に巻き上ったもの。

「これが渓河へ落ちると岩魚という魚になるんでがんす」

笹の葉化して岩魚となるという、名物のいわれ面白く、手折ってくれた好意も有難いが、お雪は上の空で受けて、やがて馬は平湯峠を下りにかかる時、

「平湯峠が海ならよかろ、いとし殿御と船で越そ――という唄がござんしてな」

馬子が、そういって教えたのも、いつものお雪ちゃんならば、「それをひとつ唄って下さいな、ぜひ」とせがむにきまっているが、今はその元気さえありません。

たったいま、見た物の怪を、誰ぞに話してよいものか、悪いものか、それにさえ惑いきっているのであります。