Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

人違い――となれば万事は解決するが、一目見ただけのお雪ちゃんの印象で、どうしてもあの人が、イヤなおばさん以外の人であるとは思い直すわけにはゆかないのです。けれども、もし本人であるとすれば、時間に於て著しい錯誤がある。それともすべてが物の怪で、前の晩に、魂魄がこの土に留まるとか、留まらないとか言って、先生が今晩あたり、この賑やかな平湯の温泉宿の屋の棟あたりにかじりついているのかもしれないと、冗談を言われたのが、祟りとなって、イヤなおばさんの魂魄が、自分たちのあとを追いかけて来たのではないか。そうだとすれば早く浮んで下さい。

だが、こればっかりは、争われぬ眼前の事実で、夢だとも、幽霊だとも、思直しようがありません――お雪ちゃんの、はっきりした頭では、もしやと、こんなふうにも想像してみました――

あの時、無名沼の面に、おばさんの死体が浮いたことは本当だろうが、それを引き上げようとする間に、水の底へかくれてしまって、そうして今日になって、はじめて探して引き上げることになった。あの冷たい沼の底に、長い間氷詰めのようにされていたから、それであの通り形も崩れずに、そっくり病人の体で運ばれて行くことになったのかも知れない。