Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

それのみか、今まで、家の中でばかり騒いでいると聞えたその声が、今は室外へ溢れ出して来たものです。そうすると、ワッシ、ワッシと何か担いで来るような模様で、それも河原へ飛び出して、川を渡って、お雪ちゃんの泊っている、この座敷の直ぐ下のところあたりへ、押しかけてくるらしいから、何はともあれ、もう床の中で聞流しにしているわけにはゆきません。

「お祭のお神輿様か知ら、御祭礼があったようにもないが、おかしいねえ」

お雪ちゃんは、寝巻のまま立って、雨戸へ手をかけて無雑作に引きあけてみた途端に、

「あっ」

と言って、眼も口も打たれて、開くことのできなくなったのは、濛々として外から捲き込んだ烟でした。

二十九

この辺で、名古屋で大持てのために有頂天になった頭の上へ、したたかに冷水をあびせられた道庵先生の近況にうつりましょう。

あの時の水かぶりで、危うく陸沈をまぬかれたが、先生の鼻息すこしも異状なく、宿へ帰ってつぎたしをして休みながら、宇治山田の米友のいないことなんぞも、一向お気がつかれませんでした。

先生は更に明日からの日程を、夢みながら……なお有頂天で、その得意さ加減、とどまるところを知りませんでしたが、こうして泰平楽に酔いきっている時、江戸で、その本城を衝かれていることなんぞも、更にお気附きのあろうはずが