Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
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「こん畜生」
例によって杖槍は、いつでも自由自在に変化の利く伏せ方にしておいて、ちょっと小首をたてて、睡眼に、その動物を篤と見定めようとしたものです。
だが、この際、まだ十分に使用に堪えない睡眼を酷使して、薄ぼんやりした有明の行燈の光で、強いて、その闖入の動物のなにものであるかを見定める労力と、必要とが、無用に帰したのは、件の動物が、逸早く米友の腋の下へ首を突込んで来たからです。
「こん畜生」
と言って米友は、その鼻っぱしを左の手で、かっ飛ばそうとして、はじめてその動物の鼻っぱしの強いことに、一驚を喫しました。
大抵の動物ならば、よし無雑作にとはいえ、米友が「こん畜生」といって刎ね飛ばせば、一応は、相当の距離へケシ飛ばされて、それで、怖れて逃げるか、もう一ぺん狎れて近づいて来るかの手ごたえがなければならないのに、この動物は更に動じないから、米友が、ちょっと面喰った形です。同時に、
「あ、こいつぁ熊だ!」
と米友が叫びました。
なるほど、そう言われて見ると、熊に違いありません。但し、熊は熊だが、羆や月の輪ではなく、まんまるく肥った熊の子であります。子熊ではあるけれども、熊は熊に違いないのです。