Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme
この清新な門出の一歩に、もう船の中に悪い空気が湧いている。この悪い空気は、とりあえず兵部の娘の船室から起っていることを、駒井はよく知っております。
お松という子に於て、駒井は最もよき秘書と助手とを得ました。駒井がお松を信任すること、お松を信任せざるを得ないほど、お松そのものの素質が適合していることが、兵部の娘にとって不平であり、嫉妬でもあり、反抗の源ともなろうとしている空気が、駒井にはよくわかるのであります。そうして、兵部の娘はその鬱憤のためにマドロスを近づけていることもよくわかります。
殖民には女子が無くてはならぬ、婦女子を伴わぬ殖民は、結局、海賊に等しいものになって、永遠の成功は覚束ない、なんぞということは、駒井も研究しておりました。このたびの船出に当っては、単純に、自分の身辺に居合わす人々を授けられたもののようにして、格別吟味もせずに収容しました。駒井としては人間性にさのみ甲乙を認めるということがありませんから、かえって環境によってねじけさせられたり、荒ませられたりした人間を伴って行くことが、別の世界の陶冶の一つの趣味であるとさえ考えられていたのです。