Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme

Aozora Bunko

駒井がかく言って船中一同に向っての感謝の意を表した時に、こまっしゃくれた茂太郎が、おとなしく受入れませんでした。

「殿様、それは違います」

「何だ」

「殿様のおっしゃることは、それは違うとわたしは思います」

お松が聞き兼ねて、たしなめました、

「何を言うのです、茂ちゃん」

茂太郎は屈せず、

「いいえ、本当のことを言うのです、いま殿様は、船の中の者がみんな気を揃えて働いてくれることが何より嬉しいとおっしゃいましたけれど、それは、或る人には当っていますけれど、ある人には当りません」

「茂ちゃん、お前、その物言いは何です、生意気だと言われますよ」

「あたいは本当のことを言っているんですよ、お松様、今この船の中の人は、みんな船長さんのために気を揃えて働いているようですけれど、そうばかりではありません、働かないで楽をしている人があります」

「そんな人はありませんよ、一人だって。みんな、それ相当の持場で何か働いておりますよ」

「ところが、働かない人が少なくとも一人はあります、それは、あたいのお嬢様です」

「あ、もゆるさんのこと」

「そうです、そうです、あのお嬢さんだけは、ちっとも働きません、お嬢さんばっかりは働かないで、遊んで食べています」