Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme

Aozora Bunko

は発達しているから、少なくとも祖先以来の家産を減らさなければ、いやでも増殖させて行くことは測られないほどでありました。

この経済の蔭に、家庭のあの暗い影のあるのは望ましいことではないが、やむを得ないことだと腹にこらえてもいるのです。家庭の暗い影は、もとより望ましいことではないが、この暗い影のために藤原家というものを抛棄することができるか。それは藤原の宏大なる資産というものがなければ、一家親戚のこれに頼る心と、これを見る眼というものが消滅してしまうにきまっている。自然、暗い影はそこでサラリと解けるかもしれないが、藤原家というものが消滅して何の家庭争議だ。肉体を持つ人には病苦というものがある、病苦を除くために肉体を殺してしまえ、ばかな! そんな理窟や学問はどこにもない。

今日しも与八は、おひるの時分、いつものように大勢とは離れて、小高みになった藪蔭のところに竹樋を通した清水を掬いながら、握飯を郁太郎にも食べさせ、自分も食べていると、不意に後ろから人の足音があって、ガサガサッと藪の下萌が鳴る。

「あ! 旦那様」

と振返った与八が驚きました。自分の後ろに立っているのは、日頃見知りごしのこの家の主人、伊太夫その人でしたから、