Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme
「では、やむを得ません、あなたと一緒に関ヶ原へ参りましょう」
「ああ嬉しい」
「わたくしはここに待っておりますから、おうちへ帰ってお仕度をしていらっしゃい」
「それはいけません、弁信さん」
「どうしてですか」
「わたしがあそこへ帰れば、わたしはきっと引きとめられてしまいます、決してひとりで旅に出ることなんぞは許されるはずがありませんもの」
「でも、そのままでは仕方がないでしょう」
「だって、弁信さんだって――いつも着のみ着のままで、旅に出るではありませんか」
「わたくしは違います――わたくしは世間の人と違って、旅が常住ですから……」
「なら、わたしにもその真似をさせて下さい」
「それはあぶないです」
「あぶないことはございますまい、不自由な弁信さんが着のみ着のままで出られるように、ともかくも五体満足な、女の身ではあるけれども若い盛りのわたしが、着のみ着のままで出られないはずはありません、もし、間違っても、それはあなたの責任ではありませんから」
「よろしうございます、では、このまま出かけましょう」
「出かけましょう」
二人はこの場の出来心――というよりも、非科学的であることの甚しい弁信法師の頭だけの暗示をたよりとして、一種異様なる駈落を試みようということに、相談が一決してしまったのです。