Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
但し一人の子供が泣こうとも、笑おうとも、天地人間の静かなことは一層静かで、これも豊太閤の豪邁なる規模をそのまま残すところの、桁行十七間、梁行十四間半の大本堂の屋の棟が、三寸低く沈む時分になると、鼓楼の下から、白衣のものがちょろちょろと走り出して来ました。
さいぜん台所門で見たのは、暗夜に黒衣の覆面――これは夜目にもしるき白衣の、しかも以前の姿よりもいくぶん背が低い。さてはお花さん狐がまた変装の趣向をかえたかな。女です――以前のは落し差しでしたが、今度のはまさしく女姿です。してみればやはり、霊怪でも、変化でもない。いったん捨てた子の笑うのに堪えられなくなって、母なる人がまた抱き戻しに来たのだ、人の母としてまさにそうなければならぬ。
五十六
子を棄てる藪はあるけれども、身を捨てる藪はないと見たのは、母と、子と、聖霊との、三位一体を知らない者のいうこと。
俗説にも、子を捨てた親は、必ずその子が、たれ人かの手によって完全に拾い上げられるまで物蔭に隠れていて、見届けて帰るのを習いとする、とある。
ここ、大通寺の玄関の松の下に、一旦わが子を捨ててみはしたけれども、時あって誰も拾いに来る人がない。