Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「君は最初から修行修行と言うが、修行にもいろいろある」
「もちろん、修行にもいろいろあるが、まず一匹一人の修行をして、男になりたいと思っているだけだ」
「一匹一人の修行というのも変なものだが、とにかく、道中の手形は持っているだろうな」
「それは持っている」
「見せてもらいたい」
「この通り」
川破りは、懐中袋から相当のものを取り出して役人に示しました。それでも感心に、御法通りのものは持っているらしい。
「八戸城下小中野――柳田平治というのだな、君の名は」
「左様」
役人はそれを見て、一応は納得したようでしたが、続いてその訊問が、眼前に掟を破った川破りのことには触れないで、ジロジロとその長い刀を見ながら、
「君、君の刀は大へんに長い」
「長いです」
男は役人の面を見上げた。長かろうと、短かかろうと、よけいなお世話だと言わぬばかりに、
「三尺五寸あります」
「素敵に長い――抜けるかね」
「抜けない刀は差さん」
「ひとつ、抜いて見せてくれないか」
「見せ物にするために差した刀ではござらぬ」
「とにかく抜いて見せ給え」
「見せるために抜くべきものではござらぬ」
「それを見たいのだ」
今まではかなり温顔にあしらっていた役人が、はじめて多少の威権を示しての言葉でしたから、見物の者をヒヤリとさせました。