Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「どうも仕方がありません、こうなりゃあ、みんな申し上げちまいます」
と与八は、白洲にかかって白状でもさせられるように、多少苦しがって申しわけをしようとする。お婆さんはそれをなだめて、
「いや、お前さん、なにもお前さんが悪いことをしたから、咎めるんじゃありません、そんなに窮屈がらずに話してごらん」
「では話しますがね、お婆さん、こうなんですよ、わしゃ、どういうものか、あの草鞋を見ると、自分のもの、人様のものに限らず、むやみに有難くなり、勿体なくなってしまって、つい押戴いてみる気になっちまう癖なんでござんしてね」
「変った癖ですね、どうしてまた、あの草鞋なんぞが、そんなに有難く、勿体なくなるもんだかねえ、足でどしどし地面の上を踏みつけて、その上、用が済めば道端へ投げ棄てられてしまう草鞋なんぞを、どうしてまた、そんなにお前さんが有難がるんだかねえ」
「どうしてったって、お婆さん――わしゃ、草鞋様、草鞋様と蔭では拝んでいるんでございますよ。お婆さん、あの草鞋様がねえ、まだ稲の時分に、田の中においでなさる時分には、あの頭へ重たいお米の穂を載せて、長いあいだ辛抱をしていておくんなすったそのおかげで、あたしたちがお米を食べられるようになるのです。