Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

十五

自暴をまる出しに、娘の調子が少しずつ声高になって行くのに狼狽したマドロスは、

「オ嬢サン、大キナ声ヲシテハイケナイデス」

「だって――今晩もまたこんなところで夜を明かさなけりゃならないとすれば、わたし、もうたまらない」

「モウ少シノ辛抱デス、日本ノ唄ニモ、オ前トナラバドコマデモ……トイウ唄アルデス」

「いやよ、マドロスさん、わたしはお前さんと苦労をするために、無名丸から逃げ出したのじゃなくってよ、お前さんが、あの大きな黒船に乗せて、御殿のようなキャビンの中で、王様のように扱われて、そうして異国の土地へ着けば、町々はみんな御殿のようで、金銀は有り余り、珍しい器械道具が揃っていて、人間はみんな親切で、何から何まで結構ずくめの外国へ連れて行ってあげるなんて言うから、ついその気になってしまったの。それなのに、この御殿はどうです、まあ、この空俵の上へ毛布一枚――ずいぶん結構なベットね。一晩は辛抱したけれど、もうできない、わたしは駒井の殿様のお船の方が、黒船に乗るよりよっぽどいい、逃げ出すんじゃなかった、駒井の殿様のお船に、おとなしくしていればよかった」