Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

「イケマセン、私、一生懸命ニ止メルデス」

だらしなかった娘が、バネのようにはね起きると、ばったが飛びついたように駈け寄って抑えたマドロスの眼つきは、今までのウスノロではなく、燃えるような執着を現わしていました。

「放して頂戴」

「イケマセン」

「馬鹿!」

「イヤ、馬鹿デナイデス、オ嬢サン、アナタ考エ無シデス」

「お前がわたしを騙したんだわ、ああ、いやな奴。誰か迎えに来て下さるといいねえ、こういう時は田山先生に限るのよ、田山先生でなければ、このウスノロをどうにもできやしない!」

と言って、娘は力を極めてマドロスを突き飛ばしました。

十六

突き飛ばしたつもりだけれども、相手は飛ばないのです。

「オ嬢サン、アナタ、モウ、ワタシノモノアリマス、逃ゲラレマセン」

「ばかにおしでないよ、お前さんなんて、ウスノロのくせに」

「アナタ、モウ、ワタシニ許シタデス、ワタシモウ、アナタ離サナイデス」

「しつこい奴ね」

「アナタ、ワタシノモノデス」

「あ、畜生!」

いかに争っても、これは問題にならない、というより、もう問題は過ぎているのです。娘は全くマドロスに抱きすくめられて、身動きすることもできない。