Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして、駒井の後ろに従うような気分でなく、それと相並んで歩きたいような気持に駆られました。

「殿様、どうして、わたくしがあの木蔭にいることがおわかりになりまして?」

「ははあ、それはわかるよ、こうして月に浮かれてそぞろ歩いているとは言いながら、なにしろ、はじめての無人島だ、環境の事情からも、自衛の本能からもだな、前後左右に敏感に神経が働くからな、注意すまいと思うても、物影の有る方に注意は向くよ、植物と人間とを見誤るほどに、わしは酔うてはいないのだ」

その返答を聞いて、なるほど、夢のように、そぞろ歩きをしながらも、人をあずかる身になると、油断というものはあり得ない、という心のたしなみをお松がさとりました。男子は外へ出れば七人の敵がある、という諺なども思い当るし、何の苦もなかりげに見える人に、かえって断えざるの苦があるというような同情を思い出でました。

「あまり夜露に打たれてはお毒でございましょうから、お館へお帰りあそばせ、あの人たちは、あのまま、あの人たちにお任せになった方が功徳にもなるでございましょうから、このままお帰りあそばしてはいかがでござります、わたくしがお供を致します」