Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
およそ人の住むべき家に、人の住まないほど、すさまじい光景はないものの一つです。本来、未開の地には未開の処女性があって、人の官能を潔くするものですけれども、一旦、人が住んで、そのまま住まずとなって打棄てられた光景ほど、うたた物の荒涼と悲哀とを漂わせるものはありません。
その気分に打たれた宇津木兵馬は、ははあ、もうこの一味は解散したのだな、人は解散したけれども、家屋敷はもとのまま、足を踏み入れるに従って、あちらに一棟、こちらに幾軒というほどに、建築の生なのに較べて、宏壮な規模が徒らに住み残されてしまっている。さながら大本教と、ひとのみちの廃殿の中に入るようなものです。これほどの結構をし、これほどの屋敷を構えながら、かくも無惨に住み捨てるというのは冥利を知らぬ業だ、逆らって入るものは逆って出でる道理、大きく言えば、城春にして草青む、といったすさまじさが兵馬の胸を打つ。とにも、かくにも、行き尽すところまで侵入を企てよう、もし、その中に人臭いにおいでもあれば見つけ物、引っとらえて物を言わせてみようと、右に左に足を踏み入れたが、いよいよ深く行くにつれて、いよいよ荒涼なものです。