Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
は、いったい誰だ」
「うむ、そりゃあな……」
と言って、さしもの米友が、ここで少し口籠ったのは、当然の所有者に渡してやるべきつもりで、ここまで持って来たには相違ないが、その、当然の当然とすべき本人が何者であるかは、御当人にもわかっていないのです。これから、その御当人を探し当てて、返すところへ返してやるというつもりで、目下捜索中なのですから、こればっかりは、さすが米友の正義を以てしても即答がなり兼ねて、不覚にも言葉尻が濁るのを、相手は、ソレ見たことかと鋭く突込んで、
「それ見ろ、それは言えまい、本来、貴様らの持つべき筋合でないから言えないのだ、悪い了簡を出すもんじゃない、さもしい心を起すもんじゃあないぞ、物が欲しければ、相当の筋道を踏んで持つべきものだ、さあ、素直に我々の手に返せ、戻せ、わかったか」
「わからねえ!」
米友が決然として言いきったのは、この場合、正道がかえって、わからずやのように受取られるのみならず、拾得物を横領の悪漢のようにも受取れるものですから、堪忍袋の緒を切りました。どっちが堪忍袋の緒を切ったのだか、わからないところがお愛嬌だと、がんりきの百はせせら笑ったが、笑いごとではない。