Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

お松はようやく瑞巌寺の中門に着きました。庫裡へは案内あることですから、とりあえず目的の臥竜梅へは行かずして、なにげないお使のように見せて、手前から庭を見渡すと、イヤな桶屋さんももう姿が見えません。あの桶屋さんが、お松の仕事を妨害するために、昼夜ぶっつづけで頑張っているのでない限り、日が暮れると共に仕事を仕舞い、仕事を仕舞うと共にあの場所を立去ることは当然なのだが、それでも、あの梅の木の下は、大桶小桶の幾つかが置きっぱなしであるのを見れば、明日もまだまだ天気である限り、頑張り通すものと見なければならない。

一通り見すまして、お松がそっと臥竜梅のうつろの方へ急ごうとすると、門前からドヤドヤと人が入り込んで来ました。三人ばかりは巡礼の風をしているのです。巡礼にしては今頃、変だなと思って足を控えていると、その巡礼は本堂へは拝礼をしないで、さっさと縁をめぐって、なんだか宵闇の縁の下へ姿をくらましてしまったようにも見えました。

十九

お松は、その宵闇の中に吸い込まれてしまった巡礼姿の二三人でさえが、心もとない人たちだと思わせられている途端に――今度は向うの一方の庭木立を潜って、人が這い寄って来るのを認めました。