Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme
そこで表面は何もない伏せ桶の中には、たしかに五人ばかりの人数が隠されてしまっているということが、お松の眼にはっきりと受取れてしまいました。
これは、尋常ではない――お松は手にしているお弁当を取落そうとしました。こうなるとお弁当を供給するその使命そのことよりも、この場のなりゆきを注視することが大事です。たとい夜が明けるまでも、この場は去れない。この場にこうしていて、これから先のなりゆきを監視し尽さなければならない。そう思って見れば、そこへ姿を消した巡礼姿の人も怪しい。あとのは、てっきり人を召捕るためのお手先に相違ないが――そうだとすれば、誰を召捕るため、それは言わずと最初から胸一杯に思い塞がっている。自分がこの当座の糧食を捧げようと思う目当ての人と、今のあの人たちが覘っている目当ての人と、同じでなくて何であろう。
ああ、こうして七兵衛おじさんが召捕られるのだ。何の間違いで、また何の罪で――これはこうしてはいられない。こうしてはいられないといって、どうすればよいのだ、今の自分として、事の急を七兵衛おじさんに告げ知らせてやる便りは無いではないか。よしそれがあったとして、自分がこの場を飛び出せば、七兵衛おじさんが召捕られる以前に、自分が捕まって、当座の動きが取れなくなるにきまっている。