Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

「おじいさん、あなたが異国を巡ってお歩きになったのは、幾つの時でしたかと殿様がお尋ねになります」

「はあ、わしが流されたのですか、それは寛政五年十一月のことでございましてな」

「寛政五年」

といって、駒井は胸算用をしてみますと、寛政五年といえば、今を去ること六十四年の昔になる、その当時は、このお爺さんも二十二歳といった若盛りだが、それにしても古い話だ――

と、また呆れましたが、しかし、古いにしても、新しいにしても、経験の教えるところは腐らないものがある。よしよし今晩はひとつ、この老人に就いて聞き得るだけを聞いてみよう。耳は少し遠いようだが、金ツンボというわけではないから、お松がそばにいてあしらってくれればけっこう話の用には立つ。そこで駒井は、

「お松さん、金椎君は今、例によってお祈りでもしているらしい、それを妨げてはいけないから、あなたひとつ、茶菓の用意をして下さい、今晩ひとつ、このお爺さんから海の話を聞かせてもらいましょう、ゆっくりと」

お松は心得て、

「承知いたしました」

といって出て行ったが、暫くして茶菓の用意をととのえて持って来ました。

そこで駒井甚三郎は、老人を相手に、その昔経験した漂流談を、お松と二人がかりで聴き取りにかかります。