Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほんとうに、田山先生がいらっしゃるといいのですが……」

お松としても、時艱にして英雄を思うの情に堪えられないが、徒らに英雄を想うのみで、この際、自分としてはなんらの施すべき策も手段もありません。

捨てて置けば、幾つかの人命にも関するほどになりはしないか――この上は、是非に及ばない、自分が出動して取りさばくよりほかはないと、駒井も思案して立ち上りました。お松もおどおどしてその後に従い、乱闘の方に進んで行きましたが、お松の心では、この殿様を、あんなところへお出し申したくはない、こんなことにまでいちいち殿様の御足労を煩わさねばならないかと、痛々しさに堪えられませんでした。

いかに酔っていても、船長の命令に服するだけの常識は残っているだろうが、もし、それをきかない時は、この殿様が御自身手を下して、あんな奴を御成敗――といっても、人間はダラシがないにはないけれども、船としてはいま無くてならない人になっているあのマドロス、殿様もあれを失いたくはなくていらっしゃるだろうから、思い切った御成敗をなさるわけにはゆかない、そうすると、あれが増長する。

お松は、どうかして、この殿様をあの場へやりたくない。