Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme
「だってお前、この闇の中で……」
と言ったが、お松はこの非凡な少年が、暗い中でもけっこう見える眼を持っていたのだということに気がつきました。
そうして、この少年は、夜目遠目のきく非凡な眼を以て、夜もすがらここに立番をして、一心不乱に七兵衛おじさんの来ることを期待していたのに、それが酬いられないことによって、この痛心の面があり、その一心不乱のために、さしも喧囂を極めたマドロス騒動の一幕にも、振向かなかったものに相違ない。
それほどまでに、七兵衛おじさんというものの来ることと、来ないことに関心を置いているこの少年。それは、多少とも縁ある人の去就に関心を持つことは人情には相違ないが、この少年が、これほどまで七兵衛おじさんを待兼ねている、それを思うと、自分の方がもう一層、それをなつかしがらなければならない義理でもあった――とお松は、ここで七兵衛の安否について、この少年の懸念を頒つ心になってみると、この少年のなんだか沈んだ面色を見るにつけて、なんとなし、また一種の不安がこみ上げてくるのを如何ともすることができませんでした。
「ここへおつきになることが遅いなら遅いでよいが、何かまた道中に変事があったのでは……あのおじさんに限って、旅に慣れているから、万々間違いはないと思うけれども……」